近年、フィギュアスケート女子界はロシアが圧倒しています。
それはザギトワやトゥルソワ、コストルナヤといったロシアのエテリ・トゥトベリーゼが率いる教え子たちの進化が目覚ましいためです。
その中でも今最も注目されているのがジュニアのカミラ・ワリエワ選手。
4回転ジャンプはもちろん、スケート技術も表現力も凄まじい天才少女なのですが、そんな選手がロシアでは「絶望」と呼ばれています。
かわいくて強い!カミラ・ワリエワってどんな選手?
カミラ・ワリエワのプロフィール |
名前:カミラ・ワリエワ 出身:カザン/ロシア 生年月日:2006年4月16日 スケート開始:2009年 居住地:モスクワ コーチ:エテリ・トゥトベリーゼ/セルゲイ・ドュダコフ/ダニイル・グレイヘンガウス 元コーチ:マリーナ・クドリャフツェワ/スタニスラフ・コバリョフ 所属クラブ:Sambo70 |
<主な戦績>
2017年3月 ロシアノービス選手権年少クラス優勝
2019年3月 ロシアノービス選手権年長クラス優勝
2019年12月 ジュニアグラプリファイナル金メダル
2020年2月 ロシアジュニア選手権優勝
<認定された高難度ジャンプ>
4回転トウループ
関連:【2019-2020】女子フィギュアで4回転ジャンプを跳べる選手まとめ
ワリエワ選手はザギトワ選手やトゥルソワ選手、コストルナヤ選手、シェルバコワ選手の3人組(通称3A)と同じエテリ・トゥトベリーゼコーチのチームに所属しています。
ちょっとザギトワ選手にタイプの似た顔立ちですが、ザギトワ選手よりも丸顔でかわいらしい印象ですね。
彼女は可愛いだけではありません。
まだ13歳なのに4回転ジャンプをすでにマスターしており、ジュニア参戦一年目の今シーズンでもジュニアグランプリファイナルではすでにジュニアの頂点に立っています。
ロシアで最も有力視されているワリエワ!その理由は?
現在黄金時代真っ只中のロシア女子フィギュア。
とくにエテリの教え子の活躍には目を見張ります。
日本人にもファンの多いリプニツカヤやメドベージェワ選手もかつてはエテリコーチに師事していましたし、
ザギトワ選手や、現在大活躍しているトゥルソワ選手、コストルナヤ選手、シェルバコワ選手もエテリの門下生です。
そんな数多くの才能を抱えてるロシアにおいて、
若干13歳のワリエワ選手は将来を最も有望視されている選手なんです。
それには以下の理由があります。
- 4回転が跳べる
- スケーティングが上手い
- スピンが上手い
- 表現技術が高い
- シニア一年目に2022年北京オリンピックを迎える
ワリエワ選手のスゴイところはジャンプ、スケート技術、スピンステップ、表現力全ての能力が非常に高いことです。
彼女のレベルの高さはジュニアのみならず、シニア女子も含めた世界の選手の中でもトップクラスと言っても過言ではありません。
現に、非公認大会ではありますが、2020年2月のロシアジュニア選手権ではトータルスコア238.17を記録しています。これは、前年に優勝したトゥルソワ選手のスコア233.99を上回っています。
もちろん出場年度もミスの数もジャッジも異なるので、一概に比較はできませんが、それでもジュニア一年目のワリエワ選手がジュニア最終年のしかも異次元と称されたトップクラスの選手のスコアに勝るのは信じられない快挙だと言えます。
オリンピック金メダル候補
そして何よりも重要なのが、オリンピックの年廻り。
フィギュアスケートで最も重要な大会はオリンピックだからです。
ワリエワ選手は順調に行けばシニア一年目で2022年のオリンピックに出場できます。
シニア1年目でオリンピックというと、2018年平昌オリンピックのザギトワ選手の金メダルが思い浮かびますよね。
ザギトワ選手がシニアデビューする2年前に鳴り物入りでシニア参戦したメドベージェワ選手は、オリンピックシーズン前まで無双状態で、彼女の五輪金メダルは確実だと思われていました。
しかし、オリンピックシーズンにシニアに参戦したザギトワ選手は、身軽な体でプログラム後半にジャンプを詰め込むという驚異の戦法を用いてあっという間に国際大会を総なめ、勢いそのままにオリンピックでも金メダルを獲得しましたよね。
つまりシニア一年目でオリンピックがやってくるという年廻りは、体のコンディション的に最も恵まれているということなんです。
現在のロシア(エテリチーム)の戦法は4回転やトリプルアクセルなど難しいジャンプを複数組み込むことですから、成長期がおとずれる前の方が有利なのは言うまでもありません。
オリンピック出場のためにはトゥルソワ選手、コストルナヤ選手、シェルバコワ選手という強力なライバルたちを倒す必要がありますが、彼女たちがあと2年後に、今の難しいジャンプを跳べる保証はありません。
ロシアなどの欧米選手は我々アジア人以上に成長による体型変化が大きいため、現時点では、3人のパフォーマンスを不安視する声の方が大きいように感じます。
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その点ワリエワ選手はロシア女子的に一番油の乗っている時期にオリンピックイヤーを迎えられるわけですから、ロシアの国民や世界のフィギュアスケートファンからとくに有力視されているというわけです。
天才ワリエワが”絶望”呼び?その理由とは?
華やかな演技と容姿と圧倒的な才能で、近いうちに確実に人気実力ともに世界トップクラスの選手となるだろうワリエワ選手。
そんな彼女ですが、自国ロシアのファンや、世界のフィギュアスケートファンから「絶望」と呼ばれているんだとか。
将来有望なのに絶望ってどういうことなんでしょう?
実はこれ、言葉の実際の意味とは真逆の意味が込められているんです。
「絶望」とはワリエワ選手が絶望されているのではなく、ワリエワ選手と戦うライバルたちが「勝ち目がない」と絶望するほど強い。
つまり、ワリエワ選手は絶望的に優れた選手である、という意味なんですよね。
フィギュアスケーターを称えるために「異次元」「宇宙人」「皇帝」など面白い表現を使うことはありますが、「絶望」って…なに?この”戦うことさえ許されない”感じ…嫌いじゃないけど。
とにかくこんなすごい選手がもうすぐ世界トップ争いの場にやってきます。
”絶望”は2年後、絶望以上の存在に進化を遂げているのでしょうか?いまから楽しみです。