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ワリエワドーピング疑惑でも出場にスケーターら激怒!批判続々

2022年2月15日

フィギュアスケート女子シングルのロシアのエース、カミラ・ワリエワ選手のドーピング問題が波紋を広げています。2ヶ月前のドーピング検査で陽性反応が出たものの、16歳以下の要保護年齢という理由でオリンピック出場が許可されたワリエワ選手。優勝候補のワリエワ選手の出場可否で試合結果が大きく変わることは間違いありません。

この問題は世間でも大きく取り沙汰されていますが、フィギュアスケート界はこの裁定についてどう考えいているのでしょうか?スケーターや関係者が続々とコメントを発表しているので、ご紹介します。

目次

ドーピング問題のワリエワが個人戦出場を許可される

スポーツ仲裁裁判所(CAS)は14日、ドーピング検査で陽性反応が出たロシア・オリンピック委員会(ROC)のフィギュアスケート女子代表、カミラ・ワリエワ(15)の女子個人戦(15日から)出場を認める裁定を下した。
CASは理由について、ワリエワが世界反ドーピング機関(WADA)に基づく16歳未満の「要保護者」であることや、検査結果の通知の遅れはワリエワの責任ではないことなどを述べている。

12月25日のロシア選手権で採取した検体から禁止薬物のトリメタジジンが検出された。ワリエワはロシア反ドーピング機関(RUSADA)から8日に暫定資格停止処分を受けたが異議を申し立て、RUSADAはこれを解除。国際オリンピック委員会(IOC)はRUSADAの決定を不服としてCASに提訴し、ワリエワが個人戦に出場できるかどうかは、CASの判断次第となっていた。

https://news.yahoo.co.jp/articles/24190c07909ee0d133946a50c09a3d3534d1205f

<ニュースの概要>

  • 2021年12月25日のロシア選手権のドーピング検査でワリエワ選手にトリメタジジンの陽性反応
  • 国際オリンピック委員会(IOC)がワリエワ選手の大会出場資格を巡ってスポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴
  • CASは16歳未満の「要保護者」を理由にワリエワの五輪参加を認定する裁定を下す

ワリエワ出場で授与式なし、一人繰り上げの配慮も

今回は年齢を理由に責任を免れたワリエワ選手ですが、昨年末の検査でドーピング陽性が出たことについては否定されていない状況です。

そのうえ彼女は優勝候補筆頭の選手なので、今後ドーピングの調査が進めば、場合によっては出場やメダルの記録を取り消される可能性も0ではないのだとか。

それらの点を考慮して、女子シングルの試合では次のような特別措置が講じられます。

  1. ワリエワ選手がSPで24位以内なら、25位の選手もフリーに進める
  2. ワリエワ選手が3位以内ならメダル授与式とフラワーセレモニーを行わない


1についてですが、ワリエワ選手の枠はある意味で”特別枠”なので、彼女が不参加だった場合にフリーに進めたであろう、25位の選手を救済しようという措置です。(フィギュアスケート個人戦においては1日目のショートプログラムで上位24位以内の選手が2日目のフリースケーティングに進めます。)


2についてですが、順当に行けばワリエワ選手は金メダルを獲得するでしょうから、彼女を表立って称える儀式は行わないという配慮でしょう。しかし、その他2人のメダリストが気の毒ではないでしょうか?ワリエワ選手のみ不参加ならまだ分かるのですが。

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スケーターらも衝撃!批判の声が多数

ワリエワ選手への裁定に疑問を持つ人も多いかと思いますが、やはり気になるのはスケーターたちがどう感じているのかではないでしょうか?

戦うのはスケーターなので、私たち以上に複雑な思いを抱えていることでしょう。

しかし現在北京オリンピックに出場中の選手たちは自分の試合に集中しなければならないため、この問題について声を上げている選手はいません(インタビューで聞かれる場合を除いて)。

ですが、オリンピックを見届けている選手や、引退したプロスケーター、そしてフィギュアスケート関係者は続々と声を上げています。

それでは、フィギュアスケート界の声をご紹介します(以下意訳です。誤訳ありましたらすみません)。

ブレイディ・テネル(アメリカ選手)

「私のスポーツとIOC(※正しくはCAS)がこの決定を下したということに本当にショックを受けました。私たちのスポーツのすべてのスケーターが、ルールを学び、ルールに基づいて日々トレーニングを積んでいるのに、この決定によってルールが踏みにじられたというのはなんて残念なことでしょう。オリンピックで競っているすべてのクリーンな選手のことを思うと心が痛みます。みなさん一人ひとりが、オリンピックの価値を守るために自分の役割を果たしているという誇りを持ってリンクに踏み出してください。今回の決定が他のアスリートたちだけでなく、世界中の人たちにどのようなメッセージを送るのでしょうか?これが私たちのスポーツを表現したい方法ですか?」

タラ・リピンスキー(長野五輪金メダリスト アメリカ人解説者)

「私はこの決定に強く反対します。つまるところ陽性反応があったということだから、彼女が試合に出るべきではないのは言うまでもありません。年齢や検査/結果のタイミングは関係ありません。このことは間違いなく私たちのスポーツに永久的な傷跡を残すでしょう。」

「そしてもう一点。私は以前にも言いましたが、彼女は若干15歳です。そのことは心に留めておいてください。この若者にとって問題を解決するには荷が重すぎます。彼女を非難した大人は誰であれ責任を問われることを願います。これは痛ましいことです。」

メーガン・デュハメル(カナダの元ペアスケーターでコーチ 平昌五輪銅メダリスト)

以下のファンのツイートを引用してリツイート

『スレッド:エテリ・トゥトベリーゼとサンボ70(所属チーム)のチームには、スケーターの健康を無視し、重症を負わせたり、ケガをした10代のアスリートを早めに引退させたという、長く恐ろしい歴史があります。これらはすべてISUと審査員、コメンテーターたちによって可能になりました。(※以下、被害選手の名前と事例を列挙…リプニツカヤ、ツルスカヤ、パネンコワ、タラカノワ、カニシェワ、トゥルシンバエワ、メドベージェワ、ザギトワ、ウサチョワ、コストルナヤ、シェルバコワ、トゥルソワ、ワリエワ、ピトキーエフ)スケートファンは、サンボ70のトレーニング方法の恐ろしさをよく知っています。このスレッドによって事実が知れ渡ることを願っています。』

(デュハメル)「これを全文読んでください!!これが全てです。それでも問題ないとい言うのなら、あなたは恥ずべきです。」

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「いま、女子シングルの試合を真剣に受け止めようとしている人はどれくらいいますか?私たちは、今まさに、違法薬物と虐待は問題なしと告げられました。もしこれがこのスポーツの現状だというのなら、私は何も関わりたくはありません。2022年2月14日。オリンピック精神が死んだ日。」

ケイトリン・ウィーバー(元カナダ代表アイスダンサー オリンピアン)

「”取り返しのつかない被害”…誰かこれが何を意味するのかを広めてくれる人はいますか?私には、取り返しのつかない被害とは、65歳以上向けの心臓の薬を子供が服用していることのように聞こえます。オリンピックスポーツの将来の取り返しのつかない被害についてはどうでしょうか?これはニセモノです。私たちが良い方法で進んでいく方法ではありません。ありえない。」

アダム・リッポン(元アメリカ代表スケーター オリンピアン)

「この状況には胸が痛みます。この少女はわずか15歳です。彼女は未成年です。彼女の周りの大人たちは、完全に彼女を失墜させました。彼らは彼女をこのひどい状況へ追い込みました。彼らは罰せられるべきです。」

「IOCによるロシアのオリンピック参加禁止処分は十分に厳しいものではありませんでした。ROCのアスリートたちはコーチや連盟を喜ばせるために、言われたことをやっているのだと思います。担当者の責任です。」

「陽性は陽性です。現在陰性の結果が出ているとしても、それまでのプロセスでパフォーマンス向上薬を使用していたという事実を否定するものにはなりません。これは本当に恥ずべきことです。こんなことする必要なかったのに。彼女は子供なんですよ。」

「彼らは彼女の健康と幸福よりもスポーツパフォーマンスを優先させました。馬鹿げています。彼らは彼女と、個々にいるすべての人のオリンピックでの経験を台無しにしてしまいました。」

「ROCはまたもや、アスリートたちに惨めな失敗をさせ、世界の舞台で恥をかかせました。北京オリンピックで戦うロシアのアスリートたちが、このオリンピックで行うすべてのことについて疑いの目を向けられることを思うと胸が痛みます。」

「世界は、スポーツを新しいレベルに押し上げる人々の成功を祝いたいと思っています。何度もフェアプレーを拒否する人がいると、それはできません。」

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長洲未来(元アメリカ代表スケーター オリンピアン)

「北京で起こっているドーピングスキャンダルについて:陽性反応が出た15歳の子に親切にしましょう。彼女はきっと彼女の周りの大人たちに導かれて、大人を信頼する制度化されたシステムの元で生活しているんですから。」

「しかし、私たちは全員がクリーンな立場で競技していることを確認し、必ず説明責任を果たす必要があります。」

「こんな日はみなさんからのサポートがすべてです。伝えようがないほど、自分の無力さを痛感し、イライラしています。私たち(アスリート)はみんな、クリーンなスポーツを誓います。なのに、この大会では、もし一人の選手が3位以内に入ればメダルセレモニーが行われないんですか?なんてこと?」

キミー・マイズナー(元アメリカ代表 世界女王スケーター)

「今日、クリーンで公正な競争が失われたというニュースで目覚めるのは残念です。現役中に最後までクリーンに戦ったアスリートとして、そしていちスポーツファンとして、この決定を支持することはできません。」

アシュリー・ワグナー(元アメリカ代表 オリンピアン)

「この時点で放心しています。これはこのスポーツに永久的な傷跡を残します。2つの異なるシステムの下で競争しているアスリートがいることを、私たちは今日、目の当たりにしたんですよ。これは公平ではありません。全員が同じ条件でプレーできるように、(五輪出場の)最低年齢を引き上げてください。」

「実際のところ、放心ではなく、ショックを受け、失望し、恥ずかしく思い、激怒しています。これはクリーンな競争を愚弄していますし、もしあなたが18歳未満だった場合は、クリーンなスケートの意味が異なっていたという考えが強調されることになりました。だからこの試合とこのオリンピックは、クリーンなアスリートたちにとってかなり不公平です。」

「私の初めてのドーピング検査は13歳のときでした。非常に幼い頃から、”あなたは自分の体に入るものに責任がある”と教えられています。誰かがあなたに何かを与えて、それを摂取するように言ったとしても、それがあなたのスポーツにとって問題ないのかどうかを100%確信するのはあなたの責任です。」

「私たちは今、年齢によって窮地から救われるという先例を作りました。私たちは2つのシステムを持っています。一つが説明責任を負うことができるシステム。もう一つが責任を負わないシステムです。そう言っても、何度も言いますが、カミラは非常に攻撃を受けやすい立場に置かれています。」

「彼女はただ単に、15歳がドーピングをしたということをはるかに超えた、問題のあるシステムの顔となっているだけです。アスリートたちは決して踏み入ってはいけない状況に置かれています。フィギュアスケート界全体が問題の解決に取り組むまで、ドーピングはフィギュアスケートに暗い影を落とし続けるでしょう。」

ガブリエル・デールマン(カナダ選手 オリンピアン)

「私は本当に言葉を失っています…私が言えるのは、私はいま困惑し、悲嘆に暮れるという次元を超えているということだけです。」

キム・ヨナ(元韓国代表スケーター バンクーバー五輪金メダリスト)

「ドーピングに違反した選手は試合に出場できない。この原則は例外なく遵守されなければなりません。すべてのプレーヤーの努力と夢は等しく尊いのです。」

このコメントには紀平梨花選手も「いいね!」しています。

ジョニー・ウィアー(元アメリカ代表スケーター オリンピアン)

「私はその決定を容認することはできません。薬物検査が陽性であったなら、年齢や検査/結果のタイミングに関係なく、過失の有無にも関わらず、そのアスリートはクリーンなアスリートと競争することを許可されるべきではありません。」

ブノワ・リショー(元フランス代表アイスダンサー 振付師)

「未成年者に説明責任を負わせることができないのなら、未成年者は競技に出るべきではありません。」

ポリーナ・エドモンズ(アメリカ選手)

「私はカミラの出場を許可するという決定に強く反対します。(全く容赦されない)一部のアスリートにとって”ルールはルール”であり、他のアスリートにとってはそうではないことを知ってがっかりしています。多くの面で不平等な試合会場です。失格は失格。これはクリーンなスポーツではありません。」

「私は女子シングルの試合に出るすべてのクリーンなアスリートをサポートし、最大の誇りを持って応援します。チームUSAがんばれ。そしてこの暗雲ではなく、オリンピックの時間を味わうに値するすべてのアスリートに注目します。」

村主章枝(元日本代表スケーター オリンピアン)

元フィギュアスケート選手の村主章枝氏は「回復不可能の傷を負わせることを回避するなら、止めるべきだった。12月の検体でその薬が入っているなら、まだその薬が体内に残っている可能性もあり、命を落としたりするかもしれないし、健康のことを考えたら出場させるべきではなかった」とそのリスクを指摘した。

https://news.yahoo.co.jp/articles/9e67d105186e049d90d22bbdf102ae72d34fd894

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ロシアスケーターはワリエワを支持

エフゲニー・プルシェンコ(元ロシア代表 トリノ五輪金メダリスト)

「カミラ・ワリエワはフィギュアスケート史上最高のスケーターの一人です!彼女はユニークな才能を持っています。彼女は、世界中の何百万人物ファンを刺激し、喜ばせています。フィギュアスケートを前進させ、全く新しいレベルに引き上げている少女です!スポーツの旅を始めたばかりの何千人もの少年少女にとってのアイドルでもあります!私たちは、北京オリンピックが勝利の喜びと夢の実現だけをもたらすと信じています。フィギュアスケートはスポーツであるだけでなく、芸術でもあります。カミラが私たちの惑星のすべてのフィギュアスケートファンや専門家の心に触れたことは間違いありません。私たちは彼女のスケートを喜び、称賛し、刺激を受け続けたいと思っています!私たちのチーム全体とアスリートたちから、カミラと彼女のコーチにサポートを送ります。」

エリザベータ・トゥクタミシェワ(ロシア選手 元世界女王)

「あなたが今、何を経験しているか分かりませんが、とても大きなストレスを抱えていることは分かります…がんばって!すべて上手くいくわ♥」

アリーナ・ザギトワ(元ロシア代表 平昌五輪金メダリスト)

ロシアメディア「スポルト」によると、公私ともに仲が良い同門の後輩の騒動に対し、ロシアテレビ局「チャンネル1」で「一体何があって、どんな落とし穴があったのかわからない。暗闇に包まれている。謎だらけ」とコメント。「カミラ! 頑張れ! あなたは素晴らしい女の子です」と声援を送った。

https://news.yahoo.co.jp/articles/14fbab77302b6e73c7279564d658b149650cc35a

ワリエワ選手は女子フィギュアスケートのレベルを上げた素晴らしいアスリートであり、ここで批判しているスケーターの多くも、SNSやテレビ解説等で彼女の実力を称賛しています。ですが、それでもこれだけの数の批判コメントが出てきているわけですから、関係者はこの事態を重く受け止めるべきではないでしょうか。

ロシアの関係者たちは彼女の擁護に回るか無言を貫いています。ロシアというお国柄、ワリエワ選手を批判するということは、国家を批判することにもなりかねませんから、批判できないのはもっともでしょうが、ドーピングが他国の選手の問題であれば、彼らは同じように振る舞ったでしょうか?

この問題はオリンピック終了後もフィギュアスケート界で長く尾を引きそうです。

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