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遺憾砲ばかりの日本政府!怒りレベルは外国に伝わっているのか?

「遺憾の意を表明します」。外交上のトラブルが生じた際に、日本政府が表明する通称”遺憾砲”。”遺憾”は対象国を非難する際によく使われる表現ですが、この遺憾という表現は日本の不満や怒りをしっかりと相手国に伝えるのに適した言葉なのでしょうか?

実は外交儀礼として対象国を批判するときに使う言葉には種類がありレベルによって使い分けられています。遺憾もそれらの言葉のうちの一つです。

この記事では遺憾や、その他の批判表現のレベルを紹介するとともに、遺憾という言葉によって、日本の心情が相手国に対してどれくらい伝わっているのかという点にも触れていきます。


遺憾、憂慮、懸念、非難…日本の外交非難表現のレベルは8段階

外国に対する非難の言葉というと、遺憾のイメージが強いのですが、他にも、懸念や非難などいくつかの言葉があります。

日本における外交儀礼(外交プロトコル)における批判表現は8段階にレベル分けされています(ソース)。

以下のように、下へ行くほど怒り度合いが大きくなります。

<批判レベル小↑>
懸念
強く懸念
憂慮
深く憂慮
遺憾
極めて遺憾
非難
断固非難

<批判レベル大↓>

主にこの8つの表現ですが、たとえば「重大な懸念」や「誠に遺憾」などニュアンスを変える場合もあります。

ちなみに遺憾という批判表現は日本では度々用いられるため軽い表現に聞こえてしまいがちですが、批判ランクでは”中の上”レベル。意外にもけっこう怒っているぞ!と伝える表現なんですね。

そもそも遺憾とはどんな意味?

ここで、外交上で使用される場合の”遺憾”の意味にも少し触れておきましょう。

遺憾とは…

 思い通りにいかないで、心残りなこと。また、そのさま。残念。釈明や非難をする場合にも用いる。

精選版 日本国語大辞典より

遺憾という言葉を「心残り」や「残念」という表現に置き換えると、とても控えめな表現に聞こえます。

しかし、批判度ミニマムの”懸念”という言葉は不安や心配を意味し、批判度マックスの”非難”は相手の過ちを責めるという意味があることから、その2つの言葉の中間にある”遺憾”は「相手に敵対的な態度を取らないまでも、NOの意思はしっかりと伝えたい」という場面で使える最も使い勝手の良い批判表現であるとも考えられます。

批判表現が使われた実例

日本の外交上の批判表現はどのように使い分けられているのでしょうか?それぞれの言葉が表明された実例を見ていきましょう。

懸念が使われた実例

2021年2月 ミャンマー国軍のクーデターに「重大な懸念」

2021年4月 新疆ウイグル自治区の人権問題について「深刻な懸念」

憂慮が使われた実例

2020年5月 中国が香港へ国家安全法制を導入決定した際に「深い憂慮」

2022年2月 ウクライナ侵攻前に軍事圧力を強めるロシアに対し「深く憂慮」

遺憾が使われた実例

2020年6月 中国全人代で香港国家安全維持法案が可決され「遺憾」

2021年9月 韓国地裁による三菱重工業の資産売却命令に「極めて遺憾」

非難が使われた実例

2021年9月 北朝鮮が日本海に弾道ミサイル2発発射で「強く非難」

2021年8月 イスラエル系企業の石油タンカーがオマーン沖で襲撃された際に「断固非難」

2022年3月 ロシア軍のウクライナ侵攻に「最も強い言葉で非難」←批判レベル超MAX

関連記事:【ウクライナ侵攻簡単解説】なぜアメリカは軍事支援しない?

どのような出来事に対し、どの批判表現を用いるのかという明確な基準は公開されていませんが、上記の例を見るに、他国の国内問題や実害が生じる前の国際問題には懸念や憂慮が使われていると思われます。また他国で起きている問題であっても、その国の政府によって市民の安全が脅かされる場合や、日本国民に害を及ぼす可能性のある外交問題には遺憾以上の表現が使われています。そして安全保障において国際法に違反するような重大な出来事には非難以上の表現が使われているようです。

遺憾砲で日本の怒りは他国に伝わるのか?

遺憾という批判表現が、日本においては中レベル以上の重たい批判を意味することは上記の通りです。

しかし、肝心なのは、遺憾表明によって、日本国の怒りや不満の感情が相手国へ正確に伝えられているのかということですよね。

実は他国にも外交プロトコルに則した批判表現は存在します。

ここでは韓国と北朝鮮、そしてアメリカという身近な国々を例に、日本の遺憾砲の効果を検証していきます。

韓国・北朝鮮の遺憾の意味は日本とほぼ同等

まずは韓国と北朝鮮です。

日本と韓国は、竹島や、いわゆる”慰安婦”問題をはじめとする歴史認識問題を抱えていますね。

また日本と北朝鮮は、拉致問題やミサイル発射問題などの問題を抱えています。

そんな両国が問題行動を取るたびに日本政府が遺憾法を発射するのがおなじみの流れです。

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実は韓国と北朝鮮にも遺憾という言葉が存在します。漢字は日本語と同様に「遺憾」で、ユガムと読みます。

そして日本と同様に、韓国と北朝鮮でも遺憾(ユガム)は外交の批判表現に使用されています。

遺憾(ユガム)の使い方についてですが、2021年7月22日の「中央日報」の解説によると、

  1. 遠回しな謝罪をする場合
  2. 遠回しに抗議や不満を示す場合

このいずれかに該当する場面で用いるとされています(実際に用いられるのは2の意味合いが多い)。

そして、日本側の遺憾表明についても同様の意味があると解釈しているようです。

ちなみに韓国では遺憾の前段階として憂慮という言葉を使います。

つまり、日本と韓国・北朝鮮の遺憾の批判レベルはほぼ同等と考えることができるでしょう。

※こちらの記事を参考にさせていただきました

アメリカの批判表現は日本とは少し異なる

一方、日本が足並みを揃えたいアメリカについてはどうでしょうか?

アメリカにも当然、外交プロトコルに則した批判表現が存在します。

アメリカの批判表現は次の通り。

<批判レベル小>

regret(遺憾である)

concern(懸念する)

deplore(憂慮する)

disappoint(失望した)

condemn(非難する)

<批判レベル大>

失望という表現以外は日本と変わりません。しかし、批判レベルの順序が異なっています。

regret(遺憾)は最も批判レベルが低いのです。

英語のregretは日本語では残念、遺憾、後悔、落胆というような意味に置き換えられます。怒りや批判というよりも「がっかり」というニュアンスが強い言葉です。

つまり、日本とアメリカでは遺憾という言葉の重みが異なります。

日本の”遺憾”は海外では軽視されている可能性もある

前述の通り、regret(遺憾)のレベルが最も低いアメリカ政府においては、日本の遺憾表明が軽視される可能性があります。たとえば日本が周辺諸国に対して遺憾の意を表明しても、アメリカが日本と足並みそろえて対象国を批判してくれるとは限らないということです。

一方、遺憾を日本と同等のレベルで扱う韓国政府や北朝鮮当局のついては、日本の遺憾の真意をきちんと理解してくれていると考えたいところですが、必ずしもそうとは言い切れないでしょう。

例えば近年、韓国の文在寅政権は北朝鮮がミサイル発射するたびに、遺憾表明を繰り返してきたのですが、そんななか、2020年6月に北朝鮮による南北連絡事務所爆破事件が起こりました。この原因は、韓国政府が毎回遺憾ばかりでそれ以上の強い態度を表明しなかったことにあると考える韓国国民も多いようです。

つまり、韓国国民にとっては遺憾という言葉は、儀礼的な生ぬるい批判表現と捉えられていることになります。これは遺憾表明を遺憾砲と揶揄する日本国民と似た感覚ではないでしょうか。

また、親北朝鮮派の文在寅大統領の意向で遺憾より強い批判表現を避けていたのだとすると、韓国政府もまた、遺憾という言葉には”事を荒立てたくない場合に使う都合の良い批判表現”という認識を持っているのではないでしょうか。

これはつまり、日本から発信する遺憾の意に対しても軽く受け止めている可能性が十分にあるということです。また、遺憾=都合のいい言葉なのですから、相手国の都合の良いときには重く、不都合な場合には軽く受け止められているかもしれないということを留意する必要があります。

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