日産は2020年7月15日に、20年ぶりに新しいロゴを発表しました。
来年発売を予定している100%電気自動車(EV)の新型クロスオーバー「アリア(Ariya)」の誕生をきっかけにロゴを刷新した形です。
この記事ではロゴのデザイナーや、ロゴを刷新した理由についてご紹介します。
NISSAN(日産)のロゴがシンプルなフラットデザイン(2D)に刷新
日産自動車は2020年7月15日に新しいロゴを発表しました。
通称ハンバーガーマークと呼ばれる従来のロゴ(画像左)は立体的で重厚感のあるエンブレムでした。
一方、新ロゴ(画像右)は立体感のないシンプルなフラットデザインになっています。
新ロゴについては「シンプルでいい」「ワクワクしない」「あんまり変わってない」など世間の反応は様々ですが、個人的にはミニマル具合が時代に合っている感じがして以前のものよりも好感を持てます。
日産新ロゴのデザイナーは松尾勉氏のチーム
日産の新ロゴは2017年夏にデザインが始まりました。
グローバルデザイン担当専務執行役員のアルフォンソ・アルバイサ氏が「薄く、軽く、しなやか」というテーマを提示し、それをアドバンスドデザイン部主管の松尾勉氏率いるチームが形にしたそうです。
新ロゴは電気自動車に合わせて作られたこともあり、ロゴをイルミネーションで光らせたときの可視性などを追求した結果、光らせても光っていないときでも同じように強い印象を与えられる今のフラットデザインを採用したとのことです。
このように背景を変えた場合や光があたった場合などの様々なシチュエーションを想定して、試行錯誤を重ねてデザインしたそうです。
日産がロゴを変更した理由は?
【お知らせ】新時代の新型クロスオーバー #EV「#日産アリア」を発表。https://t.co/3MCsYmZVKm#Nissan #Ariya #NissanAriya #電気自動車 pic.twitter.com/0UQhVzNix6
— 日産自動車株式会社 (@NissanJP) July 15, 2020
日産がこのタイミングで新ロゴ理由は、先程も触れましたが、次世代自動車の「アリア」の発表のためです。
ではなぜロゴを刷新する必要があったのかということについてですが、日産はこのように説明しています。
インターネットの利用時間が長くなるにつれ、人々はますますインターネットから知識や情報を得るようになっています。そして、私たちは、物理的なものと同じくらい、デジタルなものに囲まれて暮らしています。そのため、強いブランドになるためには、お客さまの物理的なタッチポイントだけでなく、デジタルなタッチポイントも効果的なものにしていく必要があります。
引用:https://global.nissanstories.com/
(中略)
新しいロゴは、工業的でハードな印象から、上品で親しみやすく、デジタルとの親和性の高いデザインへ移行したと言えるでしょう。そして、日産が伝統的な自動車メーカーとしてだけでなく、モビリティとサービスを提供する会社へと進化していくことを示しています。
これからの自動車はこれまでの走りの性能の追求に加えてスマホとの連動などデジタル技術との融合がスタンダードになっていくのでしょう。5Gも本格運用が開始されるこの新しい時代にフィットするロゴを必要としていたということでしょうか。
ロゴ刷新とカルロス・ゴーン逮捕は関係ある?
日産といえば、2018年のカルロス・ゴーン前会長の逮捕が記憶に新しいですよね。
当時のゴタゴタの印象もあって、ロゴ変更はカルロス・ゴーンのイメージを払拭するために作られたのではないか?と推測している人も多いようです。
たしかに先代のロゴはカルロス・ゴーン元会長の支持により作られたものです。このタイミングでのロゴ変更は脱ゴーンのメッセージと受け取ってもおかしくありません。
ですが、新ロゴプロジェクトは2017年にすでに始動していたということですから、ゴーン逮捕が原因でロゴを変えたということにはなりません。
結果的には絶好のタイミングでのロゴ変更になったのは事実ですが。
ロゴ2D化には技術的な理由もあった
新時代のブランド戦略としてロゴを変更した日産ですが、ロゴを刷新した理由には技術的な側面もあったようです。
現在のエンブレム、もうひとつの問題点を抱えています。それは、現在の日産エンブレムの場所が、衝突被害軽減ブレーキ用のレーダーを装着するのに好適なのです。
引用:くるまのニュース
高さのある立体的なエンブレム(ロゴ)の場合、レーダーに重なるようにエンブレムを配置してしまうと、レーダー波を受信・発信する精度が鈍るのだそうです。
そのため、立体感にこだわっていた従来のエンブレムを付けた車にはレーダーがなかったんだそうです。
こういった問題を解決するためにもロゴはフラットなものが望ましかったようです。
日産だけじゃない!車業界のロゴはミニマルフ化・フラット化が進む?
日産のロゴだけではありません。車業界でフォルクスワーゲンが2019年9月に、BMWが2020年3月にロゴを刷新しているのですが、ご覧の通りいずれもシンプルなフラットデザインに変更されていますよね。
フラットデザインのロゴはデジタル端末で表示された時(たとえばSNSの投稿やアプリのアイコンなど)に、印象に残りやすく、ブランドのイメージを定着させるという意味では有効なんだそうです。
実は同じ理由でロゴ変更している企業が自動車企業に限らず近年増えてきています。
例えばアパレルブランドの「バーバリー」や「セリーヌ」「バレンシアガ」などのロゴも個性よりもシンプルさを重視したものに変わっています。
現代はミニマルが好まれる時代ですが、ロゴ変更は流行り廃りの問題でもなく、日々進んでいく社会のデジタル化に適応するために変えざるを得ないという事情もあるのかもしれないと感じます。
今後は自動車企業も含め、様々な企業のロゴがミニマルなものへと変わっていくのかもしれませんね。