最近刑事ドラマや探偵ドラマなどの
事件解決系のドラマがとても増えています。
視聴率が取れるためか
家族団らんのゴールデンタイムにも
このタイプのドラマが放送されていますよね。
しかし、事件解決系のドラマには
殺人や暴力シーンがつきものです。
刑事ドラマなどの暴力的なシーンを
子供に見せても悪影響はないのでしょうか?
テレビドラマの暴力や殺人シーンで子供は暴力的になる?
これまでに、
メディアが子どもたちに与える影響に関する
多くの研究が行われてきました。
平成28年度文部科学省委託調査では、
それらの研究結果をまとめて報告されています。
その内容によると、幼児や小学生など
低年齢の子どもほどメディアの影響を受けやすいようです
(10代の青少年や大人は、現実との区別がつくため、影響は少ない)。
メディア暴力を視聴することで、
短期的に、攻撃性(怒り)が増加したり、
脱感作(暴力表現に徐々に慣れてしまう)、
覚醒(心拍数・呼吸数増加 血圧上昇)、
恐怖を抱くという影響が出てくるようです。
メディア暴力といっても
犯罪的な暴力行動についての影響は
まだ確立されていないようですが、
何かしらの暴力表現が
子供の心身に影響を与えるというデータはあるということです。
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ヒーローものと殺人ドラマの暴力シーンの違いとは?
暴力シーンが子供に悪影響を与えるというのなら、
戦隊ヒーローの暴力シーンは堂々と放送していいの?って思いますよね。
ヒーローものの格闘シーンも、
殺人シーン同様にメディアの1シーンですし。
実は、これらの2つの暴力シーンは
どちらも子供に影響を与える可能性があるんです。
しかし、これら2つの性質は異なるため、
子どもたちが受け取るメッセージが異なるんです。
ヒーロー物の特徴は戦いの場に正義と悪が存在すること。
ヒーローは悪の暴力に対して、暴力(攻撃)で対抗し、人々を救いますよね。
つまり言うなればヒーローの攻撃は正義の暴力です。
このヒーローと悪の対比は、
ストーリーのわからない幼い子にも分かるくらい
極端に演出されていますよね。
戦隊ごっこで自ら悪役をやりたがる子が少ないことからも、
子どもたちはヒーローの攻撃からは
ポジティブなイメージを受け取っていると言えるのではないでしょうか。
また、ヒーロー物のトドメをさすシーンでは、
キックやパンチではなく
必ずレーザービーム的な必殺技が使われますし、
悪者の死は霧のように消失することで表現されているため、
一番残虐なシーンをリアルに描いていないというのも悪影響を与える可能性が低いポイントでしょう。
一方、刑事ドラマなどの殺人シーンでは、
犯人の一方的な暴力という場合が多いですよね。
物語の結末は勧善懲悪なのですが、
物語を理解する能力のない幼い子供から見れば、
犯罪シーンと事件解決シーンは紐付けることができず、
暴力的な表現だけが強く頭に残るでしょう。
それにヒーロー物と違って、
トドメをさす方法は、首絞め、突き落とし、
刺殺、毒殺など現実的かつ酷い手段です。
しかし、現実とメディアの世界の区別が付けられない子どもたちは
ヒーローごっこと同じ感覚で首絞めのまねごとをする可能性もあるんです。
暴力シーンは全ての子に悪影響ではないが、見せないほうが無難
暴力表現が子供に悪影響を与えると書きましたが、
全ての子に同じような影響が及ぼされるわけではありません。
子供の性格が一人ひとり違うように、
同じ暴力シーンを見ても、受け取り方や、
その後の影響の現れ方には個人差があるんです。
もともと攻撃的な性質を持っている子が
暴力シーンによって、攻撃的性格のスイッチを入れられる場合もあれば、
暴力シーンで虚しい気持ちを抱くような子が、
暴力を嫌悪する子になることもあります。
また、恐怖心を感じたことで
トラウマが生じる子もいれば、
何も変わらない子だっています。
未来にどんな影響が現れるかなんて、
誰にも分かりませんから
見せないに越したことはないでしょう。
子供が刑事ドラマ等の暴力シーンを目撃するシチュエーションで
一番多いのは親や家族が見ている場に居合わせることだと思います。
そういう事情も考慮しているのか、
8時台の刑事ドラマは
比較的残虐なシーンを控える配慮はされています。
しかし、だからといって
子供に影響を及ぼさないとは限りませんし、
大人は常にその可能性を考えておくべきでしょう。
どうしても見たいのなら
子供が寝たあとに録画や見逃し配信で見ることをおすすめします。
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子供が自ら刑事ドラマを見たがる場合の解決法は?
子供が刑事ドラマを見たがる場合は、
まず親御さんの「あなたには見てほしくない」という気持ちを伝えてみてください。
その際、ただ「ダメ」というのでは
子供は納得しませんので、
お子さんの理解しやすい言葉で理由も伝えてくださいね。
その理由は
「これを見るとすぐケンカしたくなっちゃうんだって」
というような実際の影響に近いものでもいいと思いますが、
「お母さんとお父さん、このドラマ見てるとドキドキして怖いから違うおもしろいの見ない?」というお誘いのほうがすんなり受け入れるかもしれません。
それでも効果が薄い場合は、
子供になぜそのドラマが好きなのか聞いてみてください。
もしお子さんが出演俳優が好きな場合は、
他の作品をレンタルしたり、オンデマンド配信で視聴できますね。
事件解決が面白いというのであれば、
現実との区別が付きやすいアニメ(名探偵コナンなど)や、
暴力的な表現の少ない医療系や法律系の事件解決ドラマを勧めることをおすすめします。
殺人シーンがおもしろいというのであれば、
場合によっては専門家の知識が必要になるかもしれませんが、
まずは例えば、サバンナの動物ドキュメンタリーや、
世界の争いで犠牲になる人々のドキュメンタリーを見せて、
命の重さについて一緒に学んでみるのもいいかもしれませんね。