芥川賞と直木賞どっちがすごい?違いと共通点を徹底解説

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芥川賞と直木賞どっちがすごい?違いと共通点を徹底解説

2016年1月20日

芥川賞と直木賞は日本で最も有名な文学賞の2つです。しかし名前は知っていても詳細や違いを知らない人も少なくありません。そこで芥川賞と直木賞の違いや共通点、それぞれがどんな賞なのかについてなるべく分かりやすく解説します。

芥川賞と直木賞の違いと特徴は?

芥川賞とは何か?

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ja.wikipedia.org

じつは芥川賞というのは通称で、正式には芥川龍之介賞と言います。その名の通り芥川龍之介の功績を讃えて創設された賞です。純文学作家の芥川龍之介にちなみ、優秀な純文学作品に与えられます。

ちなみに純文学の定義は色々あるようですが、一般的に純粋な芸術性を目的として創作される文芸作品のことで、文章の美しさとか、作者の思想の表現に重きを置いた作品だそうです。

選考は毎年上半期と下半期の年2回で、選考対象は「無名あるいは新人作家」の「発表済みの短・中編小説(原稿用紙300枚程度までの作品)」という制限があります。ここが後述の直木賞と芥川賞の大きな違いです。

ちなみに「無名あるいは新人作家」というのは基本的な定義で、受賞者の中にはすでに有名作家だった大江健三郎さんや、他の賞の受賞歴がある阿部和重さんもいらっしゃいます。そういう意味ではまったくの新人以外にも新しく現れて勢い旺盛な作家も含まれるといえます。

直木賞とは何か?

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直木賞もまた通称で、正式名は直木三十五賞です。こちらも作家、直木三十五賞の功績を讃えて創設されました。こちらは大衆小説作家の直木三十五にちなんで優秀な大衆小説作品に与えられます。

大衆小説(大衆文学)とは、娯楽を目的に書かれた小説で、ストーリーが重視されます。読者が呼んでいて楽しくなることを想定して書かれている作品とも言えます。

こちらも芥川賞と同じく年に2回選考されます。しかし芥川賞とは違い、直木賞は中堅作家までが選考対象となります。そして作品の長さに規定は特にありません。

直木三十五について

芥川龍之介に比べて知名度の低い直木三十五(なおきさんじゅうご)。彼は芥川龍之介と同時期に活躍した主に時代小説を書いた小説家です。また小説家以外に脚本家、映画監督として活動もしていましたがあまり上手くは行かなかったようです。小説に関しては、43年の生涯の中で700編以上を書き上げたそうですが、そのほとんどは絶版になり読むことができません。代表作には「南国太平記」があります。

芥川賞と直木賞の共通点は?

芥川賞と直木賞の違いはご理解いただけたと思いますが、

実は2つの賞には共通点もあるんです。

それは生みの親が同じ、つまり兄弟のような賞だということです。

芥川賞と直木賞の創設者は同一人物

菊池寛  jinbutsukan.net

芥川賞と直木賞は共に1935年に創設されました。創設者は文藝春秋創設者の菊池寛。菊池は芥川龍之介と直木三十五の友人であり、二人の死後に「日本でも権威のある文学賞を設立するべきだ」という川崎竹一(文藝春秋社)の主張に賛同して賞を創設したそうです。

両賞とも当初は知名度も話題性も低かったのですが、1956年に当時学生だった石原慎太郎さんが受賞したことで一躍話題となりそれ以降はメディアで大々的に取り上げられるようになり、受賞作がたびたびベストセラーになっています。

ちなみに昨年の又吉直樹さんの火花は歴代の芥川賞受賞作の中でも単行本発行部数1位を記録しおり、現在230万部以上を売り上げています。

正賞と副賞も同じ

芥川賞・直木賞ともに受賞者には正賞の懐中時計と副賞の100万円(現在)が与えられます。ちなみに受賞者が複数の場合でも賞金山分けではなく100万円ずつ贈られます。そして受賞作は芥川賞作品は「文藝春秋」に、直木賞作品は「オール讀物」にそれぞれ掲載されます。

あれだけ権威のある賞で100万円って意外と安い気がしないでもないけど、受賞したことによって得られる本の売上や肩書は100万円を遥かに超える価値がありますから、100万円はおまけみたいなものかもしれません。

選考方法もほぼ同じ

最終候補を決める方法

まず、賞を主催する日本文学振興会が、候補作を決めるための下準備を行います。
芥川賞については主要な文芸誌だけでなく、同人誌も含めて、幅広い雑誌に掲載された作品から80作品程度を選び、直木賞は、刊行された単行本から80作品程度を選びます。
そして、芥川賞と直木賞のそれぞれについて、文藝春秋の編集者らおよそ20人で作る「予備選考委員会」が、分担して作品を読み込み、候補作を絞り込んでいきます。
この「予備選考」は「下読み」とも呼ばれます。
予備選考委員の編集者らは、作品の批評を行う会議を繰り返し行って、最終的に5作品ほどの候補作を決めます。

また、日本文学振興会では、予備選考を進めると同時に、外部の出版社の編集者や、文化人などおよそ300人にアンケート用紙を送って候補作を推薦してもらい、自分たちがすぐれた作品を見逃していないかチェックも行います。
引用:http://www9.nhk.or.jp/kabun-blog/700/177820.html

最終選考

最終選考会では芥川賞は9人、直木賞は9ないし11人の選考委員によって審議されます。選考委員は文学・文芸賞の受賞歴のあるような作家が担当します。各々が○・△・✕で作品を評価し、多数決で決定します。

選考会場は新喜楽という築地の老舗料亭。ここは秘密が漏れないということで政財界も御用達の店だそうです。その新喜楽の1階で芥川賞、2階で直木賞が決定します。

同じ日に発表と授賞式

両賞は同日発表され、翌月の授賞式も同じ日同じ会場で行われます。現在は帝国ホテルで行われています。

芥川賞と直木賞どっちが格上?

「芥川賞と直木賞ってどっちがすごいの?」という疑問を持ったことがある人は多いんじゃないでしょうか?

しかしこうやって二つの賞を見比べてみると芥川賞と直木賞は比較する存在ではなく、そもそも対象ジャンルが異なる、性質が違う賞なんだということが分かりますよね。

例えば音楽で例えるならレコード大賞にふさわしいのははミリオンヒットを記録したポップスで、日本の重要無形文化財になるのは浄瑠璃や能楽など芸術性が高い音楽というような感じじゃないかと思います。もちろんレコード大賞より重要無形文化財が遥かに格上ですけど、ジャンルの違いという意味の説明なので許してください。

ただし純文学と大衆文学の境目は音楽のように目に見えてはっきりと分かるものでは無いようです。エンタテインメント性の強い純文学作品もあればその逆もあり(そんな作品は中間小説と呼ばれます)。なので小説のジャンル分けは読んだ人の主観に依る部分が大きいのかもしれません。

とはいえ芥川龍之介の知名度と芸術性という意味で芥川賞の方が高尚というイメージが一般的なのかもしれませんね。

ただはっきり言えるのは、芥川賞と直木賞は日本の権威ある文学賞の先駆けで、すばらしい賞だということです。

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