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北京五輪女子フィギュア ロシア出身帰化選手多い!理由は?

現在開催中の北京オリンピックフィギュアスケート女子シングルには22カ国+ROCの代表選手30名が出場しています。ところでテレビ中継の選手紹介の中で「この選手はロシア出身で~」というフレーズを何度も耳にした人もいるのではないでしょうか?

実は、フィギュアスケートではオリンピック出場権を獲得するために国籍を変更する選手も珍しくありません。ロシア最強時代を迎えている女子シングルにもロシア出身の他国代表選手がたくさんいます。

北京オリンピック女子フィギュアにロシア出身選手は何人いる?

ではさっそく、2022年北京オリンピックに出場している女子選手の中に何人のロシア出身選手がいるのか見てみましょう。

以下が北京オリンピック女子シングル出場選手一覧と各選手の国籍(代表国)、出身国をまとめたリストです。

赤太字がロシア出身の他国代表選手、黒太字がロシア出身のロシア代表選手です。

選手名代表国出身国
カイラニ・クレインオーストラリアオーストラリア
オルガ・ミクティナオーストリアウクライナ
エカテリーナ・リャボワアゼルバイジャンロシア
ルナ・ヘンドリックスベルギーベルギー
ヴィクトリーナ・サフォノワベラルーシロシア
アレクサンドラ・フェイギンブルガリアイスラエル
マデリン・シザーズカナダカナダ
朱易中国アメリカ
エリスカ・ブレジノワチェコチェコ
エヴァ=ロッタ・キーバスエストニアエストニア
イェニー・サーリネンフィンランドフィンランド
ナターシャ・マッケイイギリスイギリス
アナスタシヤ・グバノワジョージアロシア
ニコル・ショットドイツドイツ
樋口新葉日本日本
河辺愛菜日本日本
坂本花織日本日本
キム・イェリム韓国韓国
ユ・ヨン韓国韓国
リンゼイ・ファン・ズンデルトオランダオランダ
エカテリーナ・クラコワポーランドロシア
アンナ・シェルバコワロシアロシア
アレクサンドラ・トゥルソワロシアロシア
カミラ・ワリエワロシアロシア
アレクシア・パガニーニスイスアメリカ
ジョセフィン・タイガードスウェーデンスウェーデン
アナスタシア・シャボトワウクライナロシア
マライア・ベルアメリカアメリカ
カレン・チェンアメリカアメリカ
アリサ・リウアメリカアメリカ

このように、ロシア出身のロシア代表選手3名に加えて、ロシア出身の他国代表選手が5名います。

つまり全30選手のうち、8名がロシア出身選手。割合にして約4割弱がロシア出身ということになりますね。

ちなみに、ロシアほどではありませんが、アメリカ出身選手もアメリカ代表3名+他国代表2名となかなか多いです。

女子選手のうち半数弱がロシアかアメリカどちらかの出身ということになります。ちょっと驚きですね。

国籍変更(帰化)の理由はロシア女子フィギュアが強すぎるから

なぜこれほどまでにロシア出身の女子選手が多いのでしょうか?

その理由はロシア女子フィギュアが強すぎて競争率の高いということ。

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どのくらい強いのかというと、今シーズン(オリンピック含まず)の女子選手のベストスコアランキングのTOP10のうち7名がロシア選手です(日本人は坂本花織選手だけ)。

また、主要国際大会の表彰台の目安スコアが210ポイントと言われていますが(ロシアが強い今はもう少し高い)、今シーズンの公式記録で210を超えるロシアの選手は11名もいます。さらに驚きなのが、その中にはオリンピック出場の年齢資格に満たないジュニアの選手もいるということです(日本人は坂本選手と三原舞依選手のみ)。

ちなみにドーピング問題で何かと話題のワリエワ選手の公式記録の最高は272.71。これは現行ルールでの世界記録であり、2位のコストルナヤ選手(ロシア)の247.59の超ハイスコアをさらに25ポイント近く上回る恐ろしいスコアです。

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こんな最強ロシアですが、オリンピックに出場できるのはわずか3人。つまりロシアはとてつもない激戦国なのです。オリンピックに限らず大きな国際大会に出場することさえ容易ではありません。

それでもオリンピックや世界選手権といった主要国際大会に出場したい選手たちのなかには、帰化して他国代表で出場する選手がいるのです。

補足:世界選手権は居住国のスケート連盟に登録すれば国籍関係なく当該国の代表となる権利を有するが、オリンピックは国籍と代表国が一致しなければならない。

国籍変更は簡単にできるの?

日本の場合、外国出身者が日本国籍を取得するには国内居住歴や語学力などが問われるため、思い立ったときに国籍を変えるというのは難しいのが現状です。

ですが海外、とりわけスポーツ分野における国籍変更は、国にもよりますが条件が緩和される場合も少なくないようです。

スポーツ後進国では国内のスポーツ強化を目的に、実力のある海外選手を積極的に帰化させるケースがあります。この場合、居住期間や語学力などを問わず、大会のスケジュールに合わせたタイミングで選手は他国へ帰化することが可能です。

また、出生国と親の国籍の二重国籍が認められている国についても、自らの意思でどちらの国の代表選手になるのか選ぶことができます。

ロシア出身の帰化選手は強いの?

ロシア出身の帰化選手は、ロシアで代表になることを諦めた選手です。つまり失礼な言い方になりますが、ロシア国内では力が及ばない選手、ということになります。

それなら彼女たちが弱い選手なのかというと、そうではありません。

繰り返しますが、ロシアは異常に強いのです。その中では上に上がってこれなかったというだけ。

彼女たちは幼いころから、今のロシアのトップ選手たちと同じようにトレーニングを積んでいるので、フィギュアスケート先進国であるロシア仕込みのスケート技術を持っています。それにクラコワ選手以外は現在もロシアを拠点に練習を積んでいます。

実際のところ、現時点では日本のような強豪国のトップクラスの選手と競えば実力は及ばないでしょう。ですが各選手が国際大会でオリンピック出場枠を勝ち取ったり国内選手権で優勝したから、オリンピックに出られているわけですし、北京オリンピックにおいても5選手中4選手がフリースケーティングに進出していることからも分かるように、競争力は十分に持っているといえるでしょう。

今後はロシア出身の他国代表選手がさらに増える?

もしこのままロシア女子シングルの競争力が維持されれば、今後も国外の代表を狙うロシア出身選手が増えることが予想されます。

ロシアが強くなればなるほど、他国へ流れる選手たちの実力も底上げされるでしょうから、今以上にオリンピックに出場するロシア出身女子選手の割合が増すかもしれません。

しかし、今の強豪ロシアを牽引しているのが、ドーピング問題のワリエワ選手を擁するエテリ・トゥトベリーゼコーチのチームですから、ロシアの黄金時代がいつまでも続くという保証はありません。

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もしロシアが弱体化すれば、競技人口の減少も起こりえますから、外国へ帰化する必要性は少なくなるかもしれませんね。

また、他の国際的スポーツでは帰化による国力操作が問題になり、規制されるケースもあります。

例えばサッカーは、南米からヨーロッパへの選手流出が増えすぎたことで南米に弱体化の危機が生じたため、FIFAは1度A代表デビューしたら、代表国は変更できないというルールを設けました。

フィギュアスケートで同じような問題が起きるとは言い切れませんが、例えば、世界選手権の出場選手の4人に3人がロシア出身選手だったらどうでしょう?ロシア勢力に偏り過ぎて、ファン離れや放映料収入の低下などの事態を招くかもしれませんね。

そんな未来が訪れれば、国籍変更に何らかのルールが定められるかもしれません。とにかく、今後もロシア選手の動向に注目です。


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