スポーツ フィギュアスケート

羽生結弦”氷の穴” モザレフ犯人は嘘?中傷インスタ閉鎖も捏造報道?真相を検証!

2022年2月9日

2022北京オリンピックのSPで優勝候補の羽生結弦選手が、氷にできた穴にハマり、ジャンプを失敗するというアクシデントが起きました。

このアクシデントを受けて羽生選手のファンはロシアのモザレフ(モザリョフ)選手を犯人と特定し、彼へ誹謗中傷を行い、選手はインスタ閉鎖を余儀なくされるという事態が起きたようです。さらに、その日行われる予定だったフィギュア団体のメダルセレモニーについても脅迫のために中止に追いやられたという情報も。

しかし、これらの報道については全くの捏造ではないか?という人も現れています。

モザレフ選手に対する誹謗中傷や脅迫は存在したのでしょうか?真相を検証してみました。


羽生選手のミスでモザレフ(モザリョフ)が誹謗中傷を受けたとロシア報道

北京オリンピック(五輪)フィギュアスケート男子の羽生結弦(27=ANA)がショートプログラム(SP)で8位と出遅れたことが、思わぬ形で波紋を広げた。

得意のSPで4回転サルコーが1回転となった原因とされるリンク上の穴をつくった選手探しがSNSで拡散。ロシアメディア「スポーツ・エキスプレス」では「私たちのスケーターは羽生のファンから殺害の脅迫を受けている。そしてロシア人の授与式はキャンセルされました」と報じた。

同メディアによると、世界中にいる羽生の「熱狂的ファン」が、リンク上に穴を空けた選手が誰なのか勝手に“捜索”し、羽生の直前に滑走したアンドレイ・モザレフに特定したと報道。ショートプログラム終了後からモザレフのインスタグラムには批判の書き込みが殺到し、殺害めいた脅迫まであったとされる。その結果、数時間後、モザレフのインスタグラムは閉鎖されたという。

また同メディアは8日に予定されていたフィギュア団体のメダル授与式が急きょキャンセルとなった原因も「IOC(国際オリンピック委員会)プレスサービスは今日、ISU(国際スケート連盟)との法的な協議を必要とする状況が緊急に発生した」というコメントとともに、金メダルのロシアオリンピック委員会のモザレフが脅迫されていたためではないかと報道していた。

https://news.yahoo.co.jp/articles/b091356794e807ef02b2aff1c2a9387d94c09df6

<ニュースの概要>

  • 北京五輪男子SPで羽生結弦選手が氷の穴にはまりジャンプをミスしまさかの8位に
  • 一部の羽生選手のファンが犯人探しを始める
  • ロシアのアンドレイ・モザレフ選手が”特定”される
  • モザレフ選手のインスタグラムに誹謗中傷が殺到しインスタは閉鎖
  • 同日予定されていたフィギュア団体メダルセレモニー中止もモザレフ脅迫の影響か?!とロシアメディアが報じる(ロシアが金)


関連記事:「何が起きた?」羽生結弦2022北京五輪SP海外の反応

アンドレイ・モザレフ(モザリョフ)が犯人特定された根拠は?

スケーターが滑っていれば氷に穴や溝ができてしまうことは避けられません。それほどスケーターたちにとっては当たり前の事象なのですが、だからこそ”犯人探し”も容易ではないでしょう。

ではなぜアンドレイ・モザレフ選手が”特定”されてしまったのでしょうか。

その根拠は2つあるようです。

公式練習で進路妨害

まずひとつ目が、本番当日、午前中の公式練習でのひとコマです。

会場で羽生選手のSPの曲がかかっている時間に、羽生選手の進行方向の先にスピン練習をしているモザレフ選手が映っていました。

羽生選手もモザレフ選手の位置を確認していたので、余裕を持って避けることができたのですが、それでも曲かけ練習ではその曲を使用する選手の練習が最も優先されるため、モザレフ選手のスピンの場所に疑問を持つファンもいたようです。

そんななかで決定打となったのが公式練習を生中継していた番組にコメンテーターとして出演していた元フィギュアスケーターの佐野稔さんの一言でした。

羽生選手の進行方向に映ったモザレフ選手に対して、佐野さんは「いま邪魔しましたね!あの人ね!」と怒り口調で批判したのです。

この出来事により、一部の羽生選手のファンはモザレフ選手=羽生選手を邪魔してくる厄介者というネガティブな印象を持ったようです。

羽生結弦の直前に滑走

2つ目の根拠がモザレフ選手の滑走順が羽生結弦選手の直前だったということです。

羽生結弦選手の出番は第4グループの3番目、モザレフ選手は同グループの2番目でした。第4グループの前にはリンクの製氷が行われたので、羽生選手の演技開始までに製氷後のリンクを滑ったのは、直前6分間練習で滑走した第4グループのメンバー6人と、1、2番目の選手のみという状況。

この状況と、先ほどの公式練習での一件でモザレフ選手が犯人に特定されたということです。

この報道に世間の反応は?

良心的な羽生選手のファンからの批判もありますし、行き過ぎたファンの行動を理解できないという意見が圧倒的でした。

なかには羽生選手自身が「他の人が作った穴」と発言してしまったことに批判的な人もいるようです。たしかに影響力の強い選手ですから発言には注意を払う必要がありますが、オリンピックという大舞台であの演技の後で、冷静な判断能力を欠いてしまった発言かもしれないことも考慮しなければなりません(それなら今ごろ本人が一番気にしているはず)。

いずれにせよ、ファンが他の選手に誹謗中傷していい理由にはまったくもってなりえません。

そもそもモザレフは悪くないのでは

先ほど犯人特定の根拠についてお話しましたが、そもそもそれらの根拠も穴を開けた犯人と特定するには乏しい材料かもしれません。以下は”モザレフ犯人説”に否定的な意見です。

公式練習のスピンは妨害行為にあたらない

今回はたまたま羽生選手の進行方向でモザレフ選手がスピン練習を行っていましたが、公式練習でスピンを練習してはいけないというルールはありません。

曲掛けのときはその曲を使う選手が優先のため、当該選手が来たら他の選手が道を譲るのがマナーではあるものの、スピン練習のときに避けるのはむずかしいですよね(かといって壁際でスピンをするわけにもいきません)。

邪魔かどうかは選手自身がどう感じるかによることではないかと思いますが、映像を確認するに、羽生選手は当たり前のようにモザレフ選手を避けて進んでおり「なんで邪魔すんだよ!」というような険悪な雰囲気は感じられない気がしますがいかがでしょうか?

モザレフが穴を開けるなら場所が違う

演技後に羽生選手が氷の穴に触れていた映像が出回っているかと思いますが、氷の穴は深さ2cm程度あるであろう、しっかりとしたものでしたね。

フィギュアスケートでそのような穴があくとすれば、ジャンプの踏切で思い切りトウをついたときや、ジャンプの着氷に乱れが生じて氷の一点に衝撃が集中したときなどが考えられます。

オリンピックレベルの選手であればスケーティング中に派手に転倒して氷を削るということはあまり考えられないでしょう。

そこで肝心のモザレフ選手のジャンプについてですが、SPで行うすべてのジャンプの実行場所が、羽生選手のサルコウの踏切場所とは全く異なっているのです。

モザレフ選手が穴をあけるタイミングがあるとすれば、SPの演技中か6分間練習のいずれかということになります。

ですがSPの演技中にはジャンプを跳んでいない場所に大きな穴をあけるのは不可能でしょう。

では6分間練習ではどうか?テレビ中継では6分間練習中の全選手の一挙手一投足がすべて放送されているわけではないので、確かなことはいえません。

ですがこれまで多くの試合を見てきた筆者の感覚では、6錬はあくまで最終確認なので、ジャンプを跳ぶとしたら、演技と同じ軌道(位置)で行うのが一般的だと思われます。

なかには演技とは違う場所でジャンプを確認することもあるでしょう。ですが、そうであったとしても6錬の場にはモザレフ選手以外にも5人の選手が滑っていたわけですから、モザレフ選手が穴を開けたと特定するのには無理があるのではないでしょうか。

仮に穴をあけたとしても悪くはない

そしてもし本当にモザレフ選手が氷に穴をあけてしまったのだとしても、それは決して故意ではないでしょう。

羽生選手も言っていましたが、選手たちにとっても、穴や溝に足を取られるのは仕方のないこと。不運なことという感覚のようです(とはいえ試合中にはめったに起きないそうですが)。


元フィギュアスケーターでコーチの中庭健介さんはこのように語ります。

「穴にはまるというのは年に1回あるかどうか、滅多にないことです。運が悪かったとしか言えませんが、4回転ジャンプを飛ぶ選手が増えていることで、数年前と比べて、リンクに穴や傷が残りやすくなったのかもしれません。自分がつけた穴にはまらないように、細心の注意を払い、6分間練習では、本番とは逆サイドでジャンプを飛ぶように工夫している選手もいるほどです。回避できなかったのか?という疑問もあるでしょうが、まず、どこに穴があるのかという判別は肉眼では難しいんです。ほとんど見えません。気が付いたときには、もうはまってしまっていたという段階で回避は難しいんです」

https://news.yahoo.co.jp/articles/654443cc7437ca08425bcb0e0b79697410a0aaf7

それぞれの選手が入念に対策していても、いざはまるときはどうしようもないようですね。

それに他の選手があけた穴に引掛かるということは、自分が作った穴に他の選手が引っかかるリスクもあるということですから、不運だった自分を悔いることはあっても他者を責めるという感覚にはならないのではないでしょうか。

モザレフ選手かどうかはさておき、羽生選手がはまった穴もいずれかの男子選手があけた穴であることはほぼ確実です。ですが穴をあけた選手に対し外野が責め立てることを選手たちが望むでしょうか?

関連記事:羽生結弦は4回転半挑戦!アクセルジャンプが難しい理由は半周多いだけじゃない

モザレフ中傷やインスタ閉鎖騒動は嘘の捏造報道か?!

大きな騒動へと発展している、羽生結弦選手のミスをめぐる誹謗中傷問題ですが、そもそもこの騒動事態が捏造報道ではないかという声も聞こえてきます。

ファンの情報によると、モザレフ選手のインスタは閉鎖もされていなければ、誹謗中傷コメントも見当たらないとのこと。

一体どういうことでしょう?

モザレフのインスタは現在も存在

上の情報にもありますが、筆者もモザレフ選手のインスタグラムの状況を調べてみたところ、やはり通常公開されていました。

ただしコメント欄は現在封鎖されています。

モザレフに誹謗中傷コメントを調べると…

肝心の誹謗中傷コメントについてはどうでしょう。

情報によると、普通のコメントばかりということでしたが…。


下の画像がモザレフ選手のインスタコメント欄のキャプチャです。

モザレフ選手のインスタコメント欄
モザレフ選手のInstagramより

英語やロシア語のコメントばかりなので分かりにくいかと思いますが、翻訳したところ、どのコメントもSPで大きなミスをしてしまったモザレフ選手を励ます内容や、フリーに向けてエールを送る内容ばかりでした。

絵文字からも雰囲気を察することができますよね。ちなみに炎の絵文字は炎上の意味ではなく、がんばっての意味で使われています。


ほぼこのような内容のコメントで占められているので、なんの変哲もないアスリートのインスタだと感じた人も多いことでしょう。

だとするとなぜ誹謗中傷騒動が沸き起こるのか?

ということで、なにか証拠はないかと、さらに調べ進めてみたところ、誹謗中傷騒動の痕跡をコメント欄に発見しました(新たな混乱を防ぐためにアカウント名やアイコンは伏せてあります)。

モザレフ選手のインスタコメント欄
モザレフ選手選手のInstagramより

「まるでfanyu(羽生選手のファンの愛称)たちがいかに有毒かを確認する必要があるみたいだね」

モザレフ選手のインスタコメント欄
モザレフ選手のInstagramより

@i********dという特定のアカウントに対して3人がコメントしています。

「冗談でしょ?!脳に穴あいてるんじゃない笑」
「ク○が!ユヅルは北京では勝たんわ 」
「黙ってどっか行って泣いとけば。彼がどこか別の場所でジャンプを失敗したとしてもそれも人生なんだよ。敬意を払ってユヅから人を尊重する方法を学ぼうよ。」

@i********dのコメント自体が見当たらないので、どのようなコメントに対して3人がリプライしたのかは不明ですが、3人のコメントの内容から、@i********dのコメントは挑発的な内容であったことが伺えます。

しかも羽生選手の名前やfanyuとう単語まで出ていますから、モザレフ選手のインスタコメント欄で羽生選手のミスに対してファンの間で何らかのコメントの応酬があったことは確実でしょう。

それにしても3人のコメントの内容もちょっと問題アリだとは思いますが…

インスタ閉鎖は嘘?

報道ではモザレフ選手のインスタグラムアカウントが閉鎖されたとありました。

これについても諸説浮上しています。

モザレフ選手は現在のインスタグラムアカウントの前に、もう一つの旧アカウントを開設していました。モザレフ選手のwikipedia等にはこちらの旧アカウントのリンクが貼られています。

しかし旧アカウントのインスタグラムは現在閉鎖されているため見ることができません。

これをロシアのメディアが勘違いして「インスタ閉鎖」という誤情報を発信したと言う説があります。

もう一つは、コメント欄の封鎖を間違って、アカウント閉鎖と報じたという説です。

先ほど紹介したように、昨日の時点でモザレフ選手のインスタにはコメントが書き込める状態でした。しかし現在は(おそらくトラブルの影響で)封鎖中です。

この情報を伝え聞いた記者が勘違いしたのか、事態をよりスキャンダラスに報じたかったのか、意図は不明ですが、間違った情報が伝えられたと考えられています。

追記:数時間のみインスタ閉鎖された模様

この記事を公開した後に、新たな情報があがってきました。

もともとはモザレフ選手のインスタに批判コメントが殺到した数時間後にインスタが閉鎖されたという情報でしたが、これは翻訳ミスで、実際は「数時間にわたって」インスタが一時的に閉鎖されたようです(日刊スポーツが修正文と謝罪を掲載)。

おそらくその数時間の閉鎖の間に、批判コメントの削除作業などを行っていたと考えられます。

メダルセレモニー(表彰式)中止はコロナの影響?モザレフも羽生も無関係

最後にフィギュア団体戦のメダルセレモニーが中止になったのはモザレフ選手が脅迫を受けた影響か?という情報の真偽についてです。

この情報に関しては否定的な意見が多いようです。

というのもこの騒動の渦中にいるモザレフ選手、羽生選手両選手とも、団体戦には出場していません。なので当然、セレモニー中にモザレフ選手に危険が及ぶ可能性はなかったのです。

さらに付け加えると、団体戦終了後に、団体戦に出場したアメリカのヴィンセント・ジョウ選手のコロナ陽性が発覚しました。

そのような状況下で、3カ国の有力選手たちが一堂に会するセレモニーを中止するという判断は当然とも考えられます。

追記:「モザレフの中傷騒動が影響」は誤報だった

こちらも記事をこうかいしてから新情報が上がってきました。

「モザレフ選手への脅迫がメダルセレモニー中止に影響を与えた」という内容は、ロシアの記事を誤訳して発信した情報だったと、日刊スポーツは訂正しました。

メダルセレモニーの本当の中止理由はロシアの法的問題(ドーピング疑惑)か?

海外の五輪専門メディアの報道によると、フィギュアスケート団体のメダルセレモニー中止の理由はロシアに法的問題(ドーピング疑惑)が浮上したからとのことです。

【北京共同】北京冬季五輪で8日夜に開催予定だったフィギュアスケート団体のメダル授与式が「法的な問題」を理由に急きょ中止されていたことが9日、分かった。IOCのアダムス広報部長は定例会見で「法的な協議が国際スケート連盟と必要になった。新たに出てきた問題であり、明確になった時点で情報提供する」と述べた。

https://news.yahoo.co.jp/articles/b8fb411ca6125742da563e8f3acd5d9f12849b52

コロナ感染リスクも中止の要因の一つだとは思いますが、上記はIOCの広報部長が公式の場で発言している内容ですから、金メダルのROC(ロシア)のドーピング疑惑が直接的な原因なのでしょう。

まとめ:羽生ファンからモザレフへの誹謗中傷は存在したが、メダル授与式中止と騒動は無関係

あらゆる情報が錯綜している氷の穴トラブルですが、あらゆる情報から総合的に判断して、モザレフ選手が羽生結弦選手の一部のファンから誹謗中傷を受け、インスタのコメントを封鎖したというのは事実です。

一方で、モザレフ選手も羽生選手も団体戦に出場していなかったので、悪質な中傷や脅迫が団体戦のメダルセレモニー中止に影響を与えたとは言い難いでしょう。

そのように報じているのはロシアのメディアでしたよね。そのロシア(ROC)チームにおいて、現在ドーピング疑惑が浮上しているわけですから、ドーピング問題を大ごとにさせないように、ロシアメディアがモザレフ選手の騒動を隠れ蓑として利用した可能性も否定できません。

メダルセレモニー中止の原因はロシアのドーピング疑惑にありますが、”モザレフ選手の騒動が影響したというのは、日本のメディアの誤訳・誤報だと判明しました”(この記事を修正前に読んでしまった方には、間接的に誤った情報を提供する形となってしまったことをお詫びします)。

以上がこの騒動の現状です。

私もフィギュアスケートファンの一人なのでオリンピックがいかに特別な舞台なのか理解しているつもりです。ですがとにかく、羽生選手の熱心なファンも、他の選手のファンも、選手ファーストでオリンピックを応援しましょう!

選手の評価を落とすような行為は愛情ではなく、単なるエゴです。あなたがどうしたいかではなく、大好きな選手が何を欲しているのかをよく考えて選手に寄り添いましょう。

そしてあなたが大好きな選手がこの日まで努力を続けてきたのと同じように、オリンピックの舞台に立つ選手も、それが叶わなかった選手も皆が、目標に向かって4年間努力してきたことを心に留めておくことが大切なのではないでしょうか。

-スポーツ, フィギュアスケート
-, , , ,

© 2022 ウラウラ+