この記事では、スタジオジブリの人気作品「ハウルの動く城」の前日譚(サイドストーリー)とされている短編アニメ「星をかった日」の視聴方法についてご紹介します。見られる映画館や公開時期についてや、DVD(Blu-ray)・配信動画・絵本化はされているのか(どこで購入できるのか)など、チェックしたい方はご覧ください。
ハウルの幼少期の物語?隠れたジブリの名作「星をかった日」
「ハウルの動く城」のなかで、幼少期のハウルは、星の子(カルシファー)と悪魔の契約を交わすシーンに登場します。それ以前の幼いハウルの暮らしや、どんな子供だったのかについては、作品内には深く描かれていません。
そんなハウルの幼少期を描いたと言われているのが、短編アニメ「星をかった日」です。
「星をかった日」は、少年・ノナと、美しい魔女・ニーニャが出会い、ともに暮らす日々が描かれてます。
<星をかった日のあらすじ>
https://www.ghibli-museum-shop.jp/contents/theday_i_bought_astar/
時間局が管理する生活に息がつまり家出をしたノナ少年。
誰もいない砂漠をひとりで歩いていると、ふしぎな女性ニーニャと出会いました。
彼女の農園の小屋で暮らし始めたノナは、ある日、野菜とひきかえに星の種を手に入れて育てることにします。
この少年・ノナがハウルで、ニーニャが荒れ地の魔女というのが裏設定のようです。
登場人物の名前が違うから、「ハウルの動く城」と「星をかった日」は関係無いのでは?という人もいますが、「星をかった日」が「ハウルの動く城」のサイドストーリーであるということは、宮崎駿監督も鈴木敏夫プロデューサーも明言しています。鈴木敏夫さんは、荒地の魔女がハウルの”最初の女性”であったという趣旨の発言までしているほどです(ソース:ニコ生「押井守ブロマガ開始記念! 世界の半分を怒らせる生放送」(2012年)番組内での対談)。
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短編アニメ「星をかった日」の原作(原案)絵本
ジブリ美術館の短編映画「星をかった日」の夜空シーンを、原作者の私が描いたらどうなるかリクエストがあったので描いてみました。描くうち例によって面白くなってきたので、この後大きく描いてみようかと。 pic.twitter.com/o1S1qHex
— Naohisa INOUE 井上直久 (@iblard_INOUE) February 29, 2012
短編アニメ「星をかった日」には原案があります。
それが、画家の井上直久さんが描いた同名の絵本です。
<井上直久さんはジブリと関係深い画家>
井上直久さんは「イバラード」という架空の魔法世界を描く画家です。イバラードの世界観はジブリ映画「耳をすませば」の挿話「バロンのくれた物語」にも登場しますし、三鷹の森ジブリ美術館の館内にはイバラードの世界を描いた井上直久さんの壁画が描かれています。
そして「星をかった日」もイバラードのなかの物語です。
しかし実は、原案の絵本はアニメ版の「星をかった日」が公開されたあとに作られました。
というのも、井上直久さんが、三鷹の森ジブリ美術館の壁画を手掛ける際に、次作の絵本の構想(のちの「星をかった日」)を宮崎駿監督に話し、その物語を宮崎駿監督が気に入って、井上さんが絵本を作るよりも先に、宮崎駿監督が映像を作ったという流れがあったからです(もちろん、井上直久さんの了承を得て)。
ちなみに井上直久さんの絵本「星をかった日」はスタジオジブリの「星をかった日」や「ハウルの動く城」の完成後に作られたのですが、絵本の「星をかった日」には魔女・ニーニャは登場しません。また主人公・ノナも中性的な描写がなされており、アニメ版の「星をかった日」とは別の物語となっています。
ハウルの前日譚(裏設定)アニメ「星をかった日」を見る方法は?
10月の土星座のえいがは、『星をかった日』です。
— 三鷹の森ジブリ美術館 (@GhibliML) October 1, 2022
「いつ上映しますか?」という声も多く頂くこの作品。お待たせしました、今月じっくりお楽しみください。https://t.co/VaMWcJ2Cdn pic.twitter.com/rNoR4DxzkK
「ハウルの動く城」ファンなら一度は「星をかった日」を見てみたいですよね。
「星をかった日」は2006年に初公開された古い映画ですが、今でも条件付きで見ることは可能です。
それは三鷹の森ジブリ美術館の映像展示室『土星座』か、愛知・ジブリパークの映像展示室『オリヲン座』で見る方法です。
『土星座』や『オリヲン座』では、スタジオジブリの短編アニメ10作品が順番に上映されています。各作品の上映期間は『土星座』では基本的に1ヶ月間。『オリヲン座』はオープンから現在(2023年1月)まで1作品のみの上映が続いており、現時点では公開サイクルは不明ですが、それぞれの施設へ「星をかった日」上映期間中に訪れれば、作品を見ることができます。
ここ最近の『土星座』と『オリオン座』の上映スケジュールを確認してみましょう。
<土星座の上映スケジュール>
2023年3月(予定) | 毛虫のボロ |
2023年2月(予定) | 水グモもんもん |
2023年1月 | たからさがし |
2022年12月 | パン種とタマゴ姫 |
2022年11月 | コロの大さんぽ |
2022年10月 | 星をかった日 |
2022年9月 | めいとこねこバス |
2022年8月 | ちゅうずもう |
2022年7月 | やどさがし |
2022年6月 | たからさがし |
2022年5月 | くじらとり |
2022年4月 | 水グモもんもん |
2022年3月 | コロの大さんぽ |
毎月上映作品が変わる三鷹の森ジブリ美術館の『土星座』ですが、作品の公開順が決まっているわけではないようです。上記スケジュール表によると、1年間の間に2回上映されている作品が3作品あります。その中で2度目の上映までの期間が最も短い作品は「たからさがし」の7ヶ月。期間が最も長い作品が「水グモもんもん」の10ヶ月となっています。
「星をかった日」の直近上映期間は2022年10月でしたが、各作品の上映スパンを考慮すると、次回の「星をかった日」の上映は、早くても2023年5月以降、2023年夏頃になる可能性が高いのではないでしょうか。
<オリヲン座の上映スケジュール>
開園~現在(2023年1月) | くじらとり |
次回作品(開始時期未発表) | コロの大さんぽ |
ジブリパークの『オリヲン座』にかんしては、2022年11月の開園から現在までに公開されている短編アニメは「くじらとり」のみです。次回は「コロの大さんぽ」であると発表されていますが、いつ次作品へと切り替わるのか、そして何ヶ月ごとに上映作品が変わるのかといった情報については、現時点ではアナウンスがありません。「星をかった日」の上映時期についても現時点では、全く予想ができません。
しかし『土星座』はもちろんのこと『オリヲン座』でも今後、定期的に「星をかった日」が上映されるはずなので、現地で鑑賞する場合は、事前に上映スケジュールを確認したうえで足を運んでみてください。
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「星をかった日」のDVD(Blu-ray)や配信動画はどこで購入できる?
2023年1月現在、「星をかった日」に関しては、DVD(Blu-ray)化や、動画配信(有料・無料含む)はされていません。
筆者は確認できませんでしたが、万が一どこかに映像作品が販売されているとしたら、それは違法な作品ですので購入しないよう注意しましょう。
「星をかった日」の絵本は販売されている?
短編アニメ「星をかった日」の絵本版は存在しません。
アニメの原案となった、井上直久さん作の絵本「星をかった日」に関しても、現在新品を購入するのは難しい状況です。
井上直久さんの以前のツイートによると、Shopify(通販サービス)で「星をかった日」を販売するストアがあるとのことでしたが(下記参照)、このストアは現在稼働していないようです。
下記サイトで、画集『イバラード博物誌』シリーズ、絵本「星をかった日」他が購入出来ます。https://t.co/bJEtbesnDv
— Naohisa INOUE 井上直久 (@iblard_INOUE) February 5, 2021
表紙クリックで、本文見開き画像が見られます。作者としては嬉しいです。探しておられた方、興味を持たれた方、ぜひご覧ください。 pic.twitter.com/lIzYd1E3gv
しかし井上直久さんの作品展示会の会場内で不定期に販売されることもあるようなので、詳細は井上直久さんのTwitter(@iblard_INOUE)をフォローして情報を追ってみてください。
また、Amazonをはじめとする大手の通販サイトに関しては、新品絵本の取り扱いはありませんでした。実店舗については、在庫が残っている可能性はゼロとは言えないので、お近くの書店に確認してみてください。
井上直久さんの「星をかった日」の中古絵本もなかなか入手しづらいようですが、どうしても購入したい場合は、通販やお近くの古本店をこまめにチェックしてみるといいかもしれません。
三鷹の森やジブリパークに行けない人には「星をかった日」パンフレットの購入がオススメ
東京や愛知に行くのは難しい場合や、今すぐに「星をかった日」の世界に触れたいという場合は、「星をかった日」の公式パンフレットの購入をおすすめします。
「星をかった日」の公式パンフレットは、三鷹の森ジブリ美術館のオンラインショップで販売されています。ただし、パンフレットは同映画のオリジナルサウンドトラックとセット商品なので、単品購入はできません。しかし、価格は1,547円(税込)とお求めやすくなっていますし、サウンドトラックと一緒に楽しむことでより一層「星をかった日」の世界観を味わうことができますよ。
パンフレットの中身は、ジブリ映画の絵本版のように詳細ではありませんが、13ページのなかに映画の印象的なシーン30カットと、短い文章が添えられており、簡易絵本として楽しむことができます。
ちなみに三鷹の森ジブリ美術館のオンラインショップでは、パンフレットだけでなく、マスコットやポストカードなど「星をかった日」グッズが豊富に販売されています。また、「星をかった日」以外の短編アニメ作品のパンフレットも購入できるので、チェックしてみてください。
短編映画「星をかった日」や「耳をすませば」等に大きな影響を与えた井上直久さんの「イバラード」の美しい世界を堪能できる映像集です(制作はスタジオジブリ)↓