供血犬や供血猫という言葉を聞いたことがあるでしょうか?ペットの犬や猫も人間の献血と同様に、ペットが大きな病気や怪我をした際に輸血を行います。供血犬や供血猫はペットのために輸血用の血液を提供する犬や猫のことです。
この記事では、ペットの輸血用血液を提供する供血犬や供血猫のドナー登録の方法についてご紹介します。
供血犬や供血猫とは?
ペットの犬や猫が病気や怪我の治療を行う際に、輸血が必要になる場合があります。
この際に血液を提供してくれるのが、供血犬や供血猫です。
供血犬や供血猫は、動物病院で飼育されている場合もありますが、ドナー登録した一般家庭の犬や猫も供血犬や供血猫として活躍する場合もあります。
人間よりも小さな犬や猫の血液を提供するのは可哀想という声もあるかもしれませんが、年齢や体重、健康状態などの条件をクリアした犬や猫の血液を採取するため、供血犬や供血猫の健康には十分に配慮されています。
しかし残念ながら、供血というシステムは愛犬家や愛猫家のなかでも一般的に知られているものではないので、地域によっては供血犬や供血猫が不足し、供血によって犬や猫の健康状態を脅かす事象が起こっているのも事実です。
2023年。東京都内の某動物病院にて、供血犬として飼育されていたシニア犬・シロが、京都市在住の夫婦に引き取られるというニュースがありました。シロは院内の窓のない地下室で汚物にまみれて飼育されていました。生まれつき心臓に疾患を抱えていたうえに、11歳で体重12kgと供血に適さない健康状態にもかかわらず(推奨は1~8歳、体重25kg程度)、繰り返し供血が行われていたそうです。
こういった劣悪な病院は一部でしょうが、シロのように供血の犠牲となる犬を減らすためには、健康な犬・猫のドナーを増やし、供血犬・供血猫の負担を減らす必要があります。
悲劇の供血犬シロについてもっと詳しく知りたい方はこちら
供血犬や供血猫になるにはどうすればいい?
犬や猫の場合、人間で言うところの日本赤十字社のような全国的に組織された血液バンクがありません。
そのため、犬や猫の献血に協力したい場合は、地域の動物医療機関においてドナー登録します。
まずは、かかりつけの動物病院で供血犬や供血猫を募集しているかどうか確認しましょう。もしかかりつけ医で供血を募集していたら、そこで登録すると連携もスムーズですし安心です。
特定のかかりつけ医がないという場合は、「供血犬」や「犬 献血」などのキーワードにお住まいの地域名を加えてブラウザ検索してみてください。お近くの供血犬、供血猫を受け付けている医療機関が見つかるかもしれません。
ただし、供血犬や供血猫のドナー登録を行うには、体重や年齢、健康状態などの条件をクリアしている必要があります。
その条件は以下のとおりです。
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【犬猫の献血】供血ドナーになるための条件は?
供血犬や供血猫のドナーの条件については、各医療機関が定めており、一律で定められている条件や決まりはありません。
医療機関ごとに大きくは異ならないものの、例えば以下のように、医療機関ごとに細かな点で条件が異なっています。
供血犬の条件(例)
年齢 | 体重 | 性別 | 予防 | その他 | |
某教育機関系動物医療センター | 1~8歳 | 15kg以上 | ♂…自然交配経験・予定なし ♀…妊娠出産経験なし・避妊済み | 狂犬病ワクチン 混合ワクチン(5種以上) フィラリア予防 ノミ・ダニ予防 | |
E動物病院 | 1~7歳 | 10kg以上 | ♂…条件未記載 ♀…妊娠出産経験なし | ワクチン フィラリア予防 | 過去に輸血を受けていないこと |
M動物病院 | 1~5歳 | 15kg以上 | ♂…条件未記載 ♀…妊娠していな | 混合ワクチン 狂犬病ワクチン フィラリア予防 ノミ・ダニ予防 | 血液型1.1陰性 |
供血猫の条件(例)
年齢 | 体重 | 性別 | 予防 | その他 | |
某教育機関系動物医療センター | 1~8歳 | 3.5kg以上 | ♂…自然交配経験・予定なし ♀…妊娠・出産経験なく避妊済み | 混合ワクチン(3種以上) ノミ・ダニ予防 | 完全室内飼育 猫白血病・猫エイズウイルスともに陰性 |
E動物病院 | 1~7歳 | 3.5kg以上 | ♂…条件未記載 ♀…妊娠出産経験なし | ワクチン | 過去に輸血を受けていないこと |
M動物病院 | 1~5歳 | 4kg以上 | ♂…条件未記載 ♀…妊娠していない | 3種混合ワクチン | 完全室内飼育 猫白血病・猫エイズウイルスともに陰性 |
ご覧のように、各医療機関で条件に大きな差は見られませんが、体重や年齢などは条件が異なりますね。
ドナー登録を行う際は、医療機関によって求められる条件が異なることを頭に入れておきましょう。
供血犬・供血猫の採血量や採血の頻度は?
供血したい気持ちはあっても、愛犬や愛猫の体に負担がかかるのでは?と不安な飼い主さんも多いことでしょう。
一般的に一度に採血される血液量は、体重によりますが、犬の場合200~400ml、猫の場合40~60ml程度。これは犬猫の負担に十分配慮した採血量です。
また、採血の頻度は、年に2、3回程度定期的に採血する医療機関もあれば、緊急時に採血する医療機関もあります。
採血は3ヶ月以上の間隔を空ければドナーに負担なく行えるので、定期採血の場合も愛犬愛猫の健康には十分配慮されていると考えられます。
採血前には健康チェックも行われるので不安がある場合は獣医師に相談しましょう。
供血犬・供血猫のメリットとデメリット
供血犬・供血猫のメリットとデメリットは以下の通りです。
メリットはさまざまな特典と健康管理
供血犬や供血猫として採血を行うとさまざまな特典を受けられます。
特典の種類や有無は医療機関によって異なりますが、たとえば、おやつやグッズのプレゼント、無料検診、フィラリア予防薬プレゼントなど、嬉しいサービスが用意されています。
また、採血前に行う身体検査や血液検査で、愛犬や愛猫の健康状態を定期的に観察できるというのも大きなメリットです。
そして獣医師と接する機会が増えるので、愛犬・愛猫の健康に関する不安点を相談しやすくなるというのもメリットの一つでしょう。
デメリットは剃毛とまれに起こる体調変化
デメリットの1つ目は剃毛です。
供血では清潔に採血するために、犬猫の体を局所的に剃毛する医療機関がほとんどです。
ショードッグやショーキャットなど容姿を重視する場合はとくに、事前に獣医師に確認を行いましょう。
また、採血は犬猫の安全に十分配慮されているといってもごく稀に体調を崩す場合もあります。可能性が少ないとはいえ、どのようなリスクがあり、万一の場合はどのようなケアをしてもらえるのかという点は事前に獣医師に確認しておきましょう。
以上、供血犬、供血猫になるための方法でした。
血液ドナーが増えると、より多くの犬猫の命を救うことができます。そして酷使される可哀想なドナーを減らすことにも役立ちます。
命のたすけあいについて、いま一度考えてみてはいかがでしょうか。